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Here Comes The Sun


barista→baristacaster   ☆転職します☆
by john-leno
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About Me...
Name
 じょんれの(♂)
Birthday
1984/05/07
Job
Broadcaster
Adress
  Sinagawa区
Hobby
・sport: volleyball
・music: Rock



◇Mail◇
yacchu@rj9.so-net.ne.jp


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嫌いになれたら楽になれるのに

10月11日。
彼女の誕生日。

俺は10日の早朝から接待ゴルフで、夜は泊まり勤務。
翌11日は交代がくる18時まで帰れなかった。

午前中から何度か電話するもつながらず。
メールも返ってこない。

きっと携帯忘れて出かけたんだろな。なんて思ってた。

16時。
「きょうは体調悪いし、会っても楽しくないから好きなことしてていいよ」

大丈夫?何か食べられるある?
どこにいる?

メールできくも返信はない。
電話にもやはり出ない。

明らかにおかしい。

勤務が終わってまっさきに彼女の家に向かった。

鍵をあける。
チェーンがかかってあかない。

いるの?

真っ暗な部屋で、お出かけスタイルのままベッドに横になってた彼女。
ゆっくりと起き上がり、ドアを開けてくれた。

ちょっと体調悪くて。
それだけ。

大丈夫なの?
心配したよ。

うん。
気分悪くてさ。。

明らかにおかしい。

ほんとにそれだけ?

…。

ちがうでしょ。
なんかあったんでしょ?

・・・。

ほんとに何もないの?

…何もなくはないけど。。

そう言うと、急に彼女の顔が紅潮していった。

部屋に入って話を聞く。

どうしたの?
何かあったの?
話して。

…話したくない。
その瞬間、堰を切ったかのように彼女の瞳から涙がこぼれ出した。

どうして話したくないの?

…。

俺のこと嫌いになった?

…嫌いになりたいと、思った。

嫌いになりたいと思った?

嫌いになれたら、楽になれるのにって思った。

…。
心のどこかでほっとした自分がいた。


どうして話したくないの?

話してもどうにもならないから。
話したら、今までずっと我慢してきたことがなくなっちゃうから。

ポロポロと涙を流しながら、言葉を絞り出すように彼女は答えた。


彼女はずっと我慢していた。
いつも俺には強がっていた。
平気なふりをしていた。


俺のために。。


7月に異動になってから、
ますます仕事は忙しくなった。

確実な休みはなくなった。

一緒にいても電話が鳴れば、現場へ行かなければならない。

朝でも夜中でも。
24時間、常に心が完全に休まることはない。

「仕事だからしょうがないよ」

彼女は理解してくれていた。

でも、それ以上に我慢していた。

それに気づいてやれなかった。


社会人1年目の彼女。

同僚の話をきけば週末の話題。
町を歩けば、楽しげなカップル。

家に帰っても一人。
朝起きても一人。

一緒にいてもいついなくなるか分からない。
俺が会社携帯を見るたびに不安になる。

逆の立場なら当たり前のことだ。

彼女はひとりで戦っていた。
付き合ってからずっとずっと。

「仕事だからしょうがない」
それは勝手な理由。

しょうがなくなんてない。

でも、今の仕事を投げ捨てることはできない。

そうなることを分かっていて、彼女はずっと一人で耐えていた。
2人で苦しむことより、自分一人で苦しむ道を選んできた。


守るつもりでいた自分はずっと守られていた。

情けない。
辛い。
いとおしい。
どうしようもない。
守りたい。
何とかしたい。

いろんな想いが複雑に絡み合った。



守る。

たとえ何を失ってでも、必ず守る。


究極の選択を迫られたとき、俺は彼女をとる。
彼女以上に優先するべきものは何もない。

そう思った。

現状は何も変わらない。
けど、心の痛みを知り、共に傷ついたこの誕生日はきっと忘れられない1日になる。



夜10時半。
やっと落ち着いたころ電話が鳴る。

11時半に入間署で会見、すぐに向かってほしい。

彼女の顔が強張る。
そして無言で抱きついてきた。

やっと腫れが引いた瞼の内側には涙が溢れていた。

そっと抱きしめた後、俺は家を出た。

彼女の視線が痛かった。

by john-leno | 2009-10-13 21:56
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